舞台をはじめTVドラマ等でも活躍中の女優・池谷のぶえさんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!

vol.20

先日、久しぶり発熱しました。体温を計ろうと思いましたが、かれこれ20年以上使っている体温計。20年前といえばいま48歳の私だって28歳です。この20年間でいろいろなことがあり、考え方も変わりました。体温計だって、いろいろなことがあり、考え方も変わったことでしょう。自分にとって体温とは何か。体温を計るだけの人生でいいのか。体温を計る自分に胸を張れるのか…。20年前私の体温を計ってくれた体温計はもうそこにはいない…そんな気がして、新しい体温計と生きていくことに決めたのです。
20年ぶりに佇む、体温計売り場の棚。「10秒予測計測」「10分確実計測」体温計よ、なんなんだ、この振り幅の大きさは。20年という時の流れを感じました。子どもの頃は、水銀の体温計を使っていた世代です。あれには何分計るなんて親切なお達しなどなかった。なんとなくもうこれ以上計ってもどうにもならないだろう…と思ったところで、ぼんやりとした水銀のラインを読んだものですよね。それがいまや、10秒vs10分の戦いですよ。予測じゃこまるし、発熱ごときに人生の10分を使うのもしゃくなので、結局間をとって1〜2分でほぼほぼ計測してくれるやつにしました。まあ、系統的には水銀寄りです。早速計測すると37度5分。微妙な発熱です。そんな微妙さが数日続きました。なんですかね、歳をとるとババッ!! と高熱を出す気力すらなくなるのでしょうかね。人生の秋を感じます。まあしかし、人生長く生きてると、いろんなことに出会えます。ふと気づいたのですが、このシアタービューフクオカさんのコラムページの、永野宗典さん、岩井秀人さん、竹井亮介さん全員と、最近やっとそれなりのコミュニケーションがとれはじめました。
永野さんとはそれこそ20年ほど前に同じ企画の違うグループでの公演はあったものの、なぜか嫌われていると思い込みノーコミュニケーションの日々。夏の公演時、お客様として観に来てくださってじっくりお話できる機会がようやく。岩井さんは、飲み会の席などで数回お会いしたことがある程度でしたが、ひょっとした流れでワークショップにお声がけいただき。竹井さんも、飲み会の席などでほんのりお会いしたことがある程度でしたが、12月の公演ではガッツリ共演させていただきます。
長い年月かかりましたが、コラムページの皆様とやっとちゃんとした知り合いになれたことを嬉しく思います。いつかこの見開き1ページを使って座談会をしませんか? もちろん、そのためだけに福岡に出向いて、飲みながらやりたいです。その日だけは微熱が出ないよう、心して体調を整える次第です。

いけたにのぶえ/1971年生まれ、茨城県出身。俳優。幻の劇団「猫ニャー」出身。舞台を中心に活動中。

◎シアタービューフクオカvol.81掲載(2019.10発行)