舞台をはじめTVドラマ等でも活躍中の女優・池谷のぶえさんのコラム。本誌と併せてお楽しみください!

vol.11

私この度、「贋作 女優/池谷のぶえ~涙の数だけ、愛を知る~」という単行本を出版していただきました。演劇情報雑誌「えんぶ」さんのWEBサイトで、数年前に連載していたコラムをまとめたものです。出版なんて一生に一度くらいの出来事でしょうから、こりゃなんかやらねばならぬ!と、千年に一度の急激なヤル気が湧き出してきて、3/20に出版記念イベントを開催しました。
獅子舞、鈴木雅之氏の扮装、ゲスト・ブルー&スカイとの盛り上がらないトーク、まったく興味のない初の自作自演ひとり芝居、白塗りミュージカル、人生相談コーナー、中島みゆきさまの「誕生」を熱唱…という、やりたいことややりたくないことの池谷アソート。こんなもの見せつけられた方々のおおらかな懐に何か賞をささげたい。
イベントの企画から何からほぼほぼ一人で進めていたので、何が正解なのか、何が面白いのかもわからない日々。特に、自作自演ひとり芝居に至っては、特にやりたくもないのに台本を執筆し、稽古するという、自分が自分に与えた刑罰に服役するという、ひとり刑務所ごっこのような日々でありました。やっぱりお芝居は、みんなで創ってみんなで公演するのが楽しいね…という、基本的なことが改めてわかっただけでもよかったのでしょうか。とはいえ、イベント当日は、たくさんの方々からの愛とパワーをいただくことができ、その効果か、数日後には生まれて初めて、ひとり飲みができました。ひとりでお酒を飲む…この行為がずっとできなかったのです。きっと、あらゆる自意識の過剰さからなのだと思います。だって、ひとりでお酒を飲んでる女性って、素敵じゃなきゃいけないようなイメージがあって…いや実際、ひとりで飲んでいる女性が素敵に見えるからこそ、自分はあのグループに入るべきじゃない…と思っていたわけですが。いまも決して素敵になったわけでもないのですが、何だか突然ひとり飲みの扉が開いたんですね。この流れを止めてはならぬと、長野県松本市までひとり飲み強化合宿に行きました。旅先では勇気が出るもので、ひとり飲み3回目にして立ち飲みに挑戦。素敵なお店で、こじんまりとした店内には5名ほどのお客さんでひしめいていましたが、私が飲みはじめた途端、全てのお客さんが帰る。2軒目の店は、私ひとりきり。3軒目の店も、カウンターは私ひとりきり…ねぇ、ひとり飲みって、「…どちらからいらしたんですか?」「よかったら、一緒に飲みませんか?」みたいな展開があるんじゃないの?それがつきものなんじゃないの?あまりにも見事すぎるひとりさ加減で、これ今後の趣味にしたところで、ゴールはどこにあるのか不安になってきました。扉なんて、開けばいいってもんじゃないのよ!

いけたにのぶえ/1971年生まれ、茨城県出身。俳優。幻の劇団「猫ニャー」出身。舞台を中心に活動中。

◎シアタービューフクオカvol.72掲載(2018.4発行)