シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、同劇団員でもあり大学時代初めて仲良くしてくれた友人でもある石田剛太くんと!


今回のゲスト: 石田剛太(いしだごうた)
1979年生。愛媛出身。ヨーロッパ企画所属。俳優・作家業の他、LOVE FMにて「こちらヨーロッパ企画福岡支部」のパーソナリテイを務める。

永野(以下 )LOVE FMでDJしてたり、10神ACTORさんとたくさん仕事していたり、福岡とゆかりの深い石田くんと対談やらねばな、とふと思って。
石田(以下、) 対談野郎って「対談やろう」と掛かってたんですね。
気づいちゃった?(汗)。「レッツ対談」なんよ。ということで、いち個人としてしっかり掘り下げたい。大学時代、初めて友達になった人として。
そうでした。たのしい先輩で。すごく接しやすかったです。
かなり人に対して心閉じてた時期だったので。ガラッと生きやすくなりました。
でも、中~高校は人気者だったんですよね?
そうなんよ。でも大学で、喉元で言葉がつっかえる病になって。
これ、永野さんのこと掘り下げるんですか?
ごめん(笑)。
逆でしょ。
違うんよ(笑)、石田くんは知らず知らずのうちに人を救ってくれてるんだということを伝えたくて。
その逆もありますね。知らない間に傷つけてることも。でも、あんまり言ったことを覚えてないんですよね。そのときの雰囲気で話したりするから。
幼少期は、どんな子やった?
元気で明るくてよく喋る感じでしたかねえ。
スクールカーストはかなり高いイメージよ。劣等感とかコンプレックスは? 深く悩んだこととか?
劇を始めて、羞恥心とかを覚えました。
あ、劇を始めたことで、大きい変化があったんや。
劇で、恥ずかしいことをやっちゃ恥ずかしい、と思うようになったんじゃないですかねえ。それまで面白いことと面白くないことをきちんと考えたこともなかったので。
それまでは雰囲気でやってたことも、一回、表現するために、整理するもんね。
でも普段に関しては、いまだに雰囲気で言ってることもコロコロ変わったりしちゃいますね。「昨日の自分は他人、さっきの俺は別人」という風に思ってます。最近、浅田次郎氏がJALの機内誌の中で書いてて、ああ、僕はこれだなあと。劇をやるには致命傷かもしれませんが(汗)。作・演出の上田君に「言うの難しいだろうなっていうセリフを石田に振っても、なんなく言う」と言われたことはあります。思ってもないことも本気で言える、という良さはあるかもしれませんが、台詞とか動きとか気持ちとか、考えるの面倒臭いなと思ったりも…。
元来、雰囲気の人なんだもんね。
こないだも北海道テレビの藤村さんらと飲んでて、人数多かったので「お刺身盛り合わせでも頼みますか?」って言ったら「刺身盛り合わせをなんとなくで頼むの嫌いなんだよ」と言われて、「実は僕もそうなんです!」と言ったんです。
すぐ翻しちゃうんだ!
指摘されると「そうですよねー!!」ってなって、「いや今、頼もうとしてたじゃん!」とその時、激しくツッコまれました(笑)。こういうことでよく「さっきと人が違うやん!」ってなります。
確かに、「飲みにいきましょうよー!」っていう石田くんと、「え、行くんすか?」の石田くんが、ほぼ同じタイミングに現れるもんね。
その瞬間は飲みに行きたいなって思うんです。でもその数分後に、やっぱ面倒臭いなあって(笑)。
言動がいちいち軽はずみっていう(笑)。
思ってないときもあるし(笑)。
思ってないやつやばいなあ(笑)。劇団20周年やけど、心境の変化とかありましたか?
よくわからなくなったりしますね。自分がこうしたいというのと、相手がこうしたいというのがあった時、どうするべきかと考えると難しくて、やっぱ雰囲気でいいのかなあとか。お刺身盛り合わせでいいかって(笑)。
20年経って、役者各々の演劇観が確立されてきたり、悪い言い方すると頑固になってたりして、群像の芝居は難しくなってくるのかもね。でも、刺身理論でいうと、盛り合わせではなく、一品一品頼むのが一番、テーブルが賑やかになるよね。劇も同じで…。
ああ、それ、気に入ってくれたんですね(笑)。
一方で、雰囲気でやるのも技の一つだよね。特に石田くんは。
ありがとうございます。対談野郎は褒めてもらえる野郎なんですね。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。

◎シアタービューフクオカ vol.75掲載(2018.10発行)