シアタービューフクオカのコラムで誌上最長連載を誇るヨーロッパ企画・永野宗典氏。
ゲストを迎えての対談形式コラム。
webでもダブル掲載!本誌と併せてお楽しみください!


限られた字数制限の中、所狭しとお送りするショートショート対談。今回のお相手は、ヨーロッパ企画20周年ツアーでご一緒する女優・早織さんと!


今回のゲスト: 早織(さおり)
1988年5月29日生。京都出身。スターダストプロモーション所属。三木聡監督のショートフィルム『臭いものには蓋の日』で主演デビュー。 近年の出演作は河瀬直美監督映画『光』ほか。

永野(以下 )早織さんってどういう子供やったんかなあって、ふと気になって。人に壁を感じさせない、ふんわり馴染む方やなあって思って。
早織(以下、) それすごい嬉しいですねえ。15歳から学校行きながらこの仕事始めて、京都と東京行ったり来たりしてて、すごく壁作っちゃう時期とかあったんですけどね。お芝居って、内面に向き合っていく作業じゃないですか。向き合うことで改めて自分のことを知ったし、演劇のおかげで、だいぶほぐされた所もある気がします。
この世界に飛び込んだのは自分から?
はい。京都っていう街からすごく出たくて。家が料理屋だったり、祖母も日舞の師匠やってたりっていうのもあったと思うんですけど、礼儀作法とかも厳しくて、それが窮屈で仕方がなかった(笑)。当時ジュニア向けのファッション誌とか流行ってて、読者モデルがしたいとか思って。
それをきっかけに、東京に遊びに行けるぞと(笑)。
オーディション雑誌読んで、軽い気持ちで応募してたんです。そしたら雑誌サイドの人から、関西圏で映画監督の河瀬直美さんの作品のオーディションがあるって教えてもらったんです。で、河瀬さんにお会いして、生い立ちからじっくり対話してもらえたりして、なんかこれまで出会った大人と全然違って。最終面接で、「モデルより女優の方が向いてるよ」って仰っていただけて、そこからバンっと方向を変えて(笑)、一緒に仕事できる人になりたいと思って、演技レッスンができる事務所を探したんです。
ほ~、京都を出たいという気持ちから、女優の道へ繋がるんや。
でも、東京に行って初めてやった仕事がアイドルだったんです(笑)。
どう思った?逸れてる、人生逸れてる!って焦った?(笑)
必死だったというか、その辺の区別がついてなかったと思います。一夏の期間限定ユニットだったんですけど。
早織さんの存在の魅力って、年齢が自在なところだよね。声質の影響だと思うんだけど、喋るトーンがおっとりしてて大人っぽく見える瞬間もあるし、無邪気によく笑って幼く見える瞬間もある。だから今回、大学生とその35、6歳の同一人物の役を演じるから、すごくハマるだろうなあって思いました。
そんなん言ってもらえたし、5ヶ月間大丈夫、わたし(笑)。今回ヨーロッパ企画の稽古参加してみて、はあ~、こういう風に作ってはったんや、って思って。なんかセッションしてる感じ?ジャズというか?
素敵な表現を見つけていただいて(笑)。
最初稽古入ったときよくわからなくて、みんなうまいこと絡み合ってグルーヴ出してる中、私ひとり、拍子木、カン!って鳴らしてしまったみたいな気がしてきて(笑)。
ひとり和物の音が出て。ビートが違うぞっていう(笑)。
いやあでもね、本当に、わからなくて…(笑)。すごい、タイムマシン、時間軸難しい…(笑)。
ああ、タイムスリップの流れねえ。わからんゾーン入ってる!?
「サマータイムマシン・ブルース」の方もわたし、まだ、ゆっくり沁みてきてるところで、「サマータイムマシン・ワンスモア」でさらに難しいの来たと思って(笑)。
大丈夫。僕も「ワンスモア」まだついて行けてないから。
でもね、ヨーロッパ企画さんのところに来たのは、あ~もう決められてたのかなあって思いました。稽古場に来た時に、ここに来るのは必然だったのかもって。
これまで積み上げてきた経験がなければ、ここにはいない、と。…アイドル経験したのも繋がってるんですか?(笑)。
繋がってますよ~。歌って踊ってたんです、ミカン箱ステージと呼ばれる簡易なステージで(笑)。一夏一日も休まず、お客さんの熱量に触れてきたので。
まあ、これまでの客演さん曰く、ヨーロッパ企画のメンバーは本番の舞台で急に豹変するらしい。ゆるい稽古しておいて、急に舞台俳優スイッチ入るらしいから(笑)。
やっと巡り会えたと思ったのに、ピャーって行っちゃうんですよね(笑)。
引かないでね。

●永野宗典(ながの むねのり)/’78年生まれ、宮崎県出身。’98年、上田誠らと共にヨーロッパ企画の旗揚げに参加。以降、全作品に出演。

◎シアタービューフクオカ vol.73掲載(2018.6発行)