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売り切れ必至!「あんなに優しかったゴーレム」           上田誠×永野宗典×諏訪雅インタビュー

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(左から/上田誠氏・永野宗典氏・諏訪雅氏)

いよいよ公演も迫ってきたヨーロッパ企画やったね10周年ツアー「あんなに優しかったゴーレム」。栗東、京都、名古屋、大阪公演を終え、その面白さゆえ、これからの公演は売り切れ続出だという。終わった後に、そんなに面白かったのか!と、後悔しないためにも福岡公演は絶対に観ておくべき!!最近は、映像や舞台はもちろん、様々な分野で個々の活動もめざましいヨーロッパ企画の、旗揚げメンバーお三方にインタビュー。

■10周年おめでとうございます。ではまず、10周年に向けての意気込みを聞かせてください。

上田/
第一回目の時から、今これが面白い!と思うことを続けていきたいという思いは最初からずっと変わっていないんです。もちろん興味の対象は変わっているんですけど。今はそれをどう通すかというスタイルに変えていっている段階でもあるんです。僕らが二十歳の頃は、学生さんを相手にして面白いものを作れていたものが、今は10年やってきて、歳もとってきたんで(笑)それを社会的に通用させないとやれるものもやれなくなくなるなって思う部分もあるんです。面白いことをやり続けるために、どういう戦略でいこうかというのを、考えなければいけない時期にきているんだと思うんですよ。きっと色んなことを放っておくと、やりたいことも続けられなくなりますからね(笑)でも、これまでの10年は、あんまり他に飲まれることなく、すごく好きなことをずっとやり続けられているんです。ホントに雑音もなくやり続けられているんで、それをこれからもなるべく続けられるように、形を変えてでも、最初にやりたいと思ったことがいつでも出来るような集団であり続けられればと思っていますね。

永野/
ずっとほとんど同じメンバーで10年近くやってきて、最近はメンバーが、それぞれにプロジェクトを抱えていたり、俳優として色んな場で活躍できるようになってきたんですね。これまでは、ずっとチーム感覚でやっていた感じだったんですが、最近はそれぞれ外に出て活躍してきている面が増えてきて、何を考えているんだろう、何を外で得てきたんだろうとか、何か変わったかな〜とか、そういう面が気になってきたりして来ているんです。今のそういう時期にある、今回の公演では、ホントに舞台セットにしろ、何にしろみんなとよく話し合うんですよ。だから、それぞれが考えていることが、この公演のミーティングできちん確認できているんです。いい意味での自分たちの足場を確認というか、足場を固めているというか、そういうような感じのことが自然に出来ているので、いい10年目の迎え方をしたかなと感じてます。ま、変わってないなって感じがするところも、もちろんあるんですけど(笑)次の10年もこのまま行ければいいな、と思っています。

諏訪/
今回の公演は、作っている段階での話し合いがホントに多くて。昔はみんなあまり意見を言わなかったんですけど、最近は意見がすごく出るようになってきているんですよ。これはすごくいい感じ進んでいってるなと思っているので、これまでの10年はホントにいい時間だったんだなって実感していますね。

永野/
ま、みんなの意識が変わっていっているところがあるんでしょうね。

■この10年間、あまり喧嘩もしたことがないそうですが、その秘訣みたいなモノって何でしょう?

上田/
周りの景色が変わったら、喧嘩もないんじゃないかと思うんですよ。僕らは良くも悪くも10年間、京都にいながらにして、珍しく景色を絶えず変え続けていれるなと感じていて、それが喧嘩にならない一番の秘訣だと思いますね。

永野/
京都の学生のホールから始まって、東京公演もやり始めて、そこで出会う人たちも増えたし、環境は本当に、年々めまぐるしく変わってきている気がしますね。

上田/
なので、常に外に目を向けつつ、目新しいことがあって、それこそ、舞台以外のことをやり始めたって事もそうですし、毎公演新しいことに、どうやって実現したらいいだろうかってチャレンジしていくことも景色が変わることですしね。喧嘩をするほどの停滞感がないっていうのは大きいかもしれないですね。

■では、その10年の間、今回の「あんなに優しかったゴーレム」まで、上田さんの作品のテイストって変わってきていると思いますか?

永野/
変わってきてますね。まあ、最初は台本が手元にある状態からの稽古だったんですけど、その状態から変わってきてますからね(笑)今では台本づくりから一緒にやっていくのが、僕らのスタイルになってきているし。

上田/
僕も欲が出てきて、台本未満のことをもっと役者と共有したいっていう気持ちがあるんですよ。最初は役者に台本を渡して演り始めるっていことが役者自身も精一杯だったのが、今はもう台本を渡してその通りにやるのは当たり前で、なんの演出もなくっていったら変ですけど、役者自身がかなりのところまでやれるようになっているので、じゃあ、もっと前の段階から一緒に考えましょうというような感じに劇団全体がなってきているんですね。きっと。

■そういう経験を経た、今回の公演についてお話を伺いたいんですけど、物語の着想のきっかけはなんだったんですか?

上田/
なんだっけな〜。最初の頃はSFをやっていて、段々それがSFから日常的な方向にいったんですけど、初期の作品を再演する「バックトゥ2000シリーズ」の公演をやってみた時に、古代エジプトの話だとか超能力とか宇宙船の話が、これもやっぱりいいなって思ったんですよ(笑)お芝居ってやっぱりエンターテイメントだと思って、それで「火星の倉庫」でもSFっぽいことをしたんです。というのは、再演をやってみて、こういエンターテイメントをやるべきだなって感じたのが大きかったですね。「バックトゥ2000シリーズ」のちょっと前の公演は「道」とか「工場」とか「フォーメーション」とか、SFというよりは、もう少し地味なテーマだったんですけど、そこからまたファンタジーとかSFに戻そうかなと。それを扱って尚かつ、絵空事じゃないことが出来るという自信もありつつ、気持ちのどこかにドラゴンとかペガサスとかをどこかのタイミングでやりたいなと思っていたんですよ。でも「ゴーレム」はなんでだろうなぁぁぁ。

永野/
「ゴーレム」は、劇団員ながら突飛だなって。そうきたか〜と(笑)

諏訪/
僕は単純に「ゴーレム」って面白そうだなって思いましたよ(笑)

永野/
こんなことに興味があったんだ(笑)って。正直なところそんな感じだったんですけどね(笑)

諏訪/
「ゴーレム」は正直、ドラクエのゴーレムくらいの興味しかなかったですから(笑)

上田/
でも、僕、“土”の話をやりたかったんですよ。

永野・諏訪/
“土”の話???

上田/
いや〜土の中の話がしたかった(笑)だけど公演のタイトルが「土」ではよくないでしょ?(笑)
だから、ゴーレム(笑)

■私もゲームでしか知らなかったですよ(笑)

上田/
いや、色んな方にお話しするとゲームも知らない方のほうが多いんですよ。

■「ゴーレム」ってタイトルをみた時に上田さんのゲーム好きな感じを、お芝居にも持ってきちゃうんだって思ったんですよ(笑)それが土だったとは(笑)
前回の「火星の倉庫」の時に、上田さんはその時、ストーリー性のあるものをやってみたいっておっしゃっていたんですが、今回の作品は、その延長線上にあるものなのか、それとも「火星の倉庫」でやってみて元に戻しちゃったのかどちらですか?

上田/
あ〜〜〜なるほど。もちろん話を進める上で、それなりに話の筋っていうものは必要だし、面白いんですけど、前回僕の言ったストーリーというのは、歴史的意味づけとか、この世界を司る価値体系とか、そういう風な意味合いで生きる縁(よすが)となるストーリーのことを言っていたんです。それこそ昔あったような努力神話とか、そういうのをみて、それを信じてそれを生きる規範にしていく、というようなことが本来のストーリーの意味であって、まあ宗教に近いというか、そういうメッセージ性の高いものという事で言うと、最初の頃はそういう意味での、ストーリーを何となく書いていたんです。だけど、最近世の中に当たるにつけ、9・11の事件以来、色んな積み上げが意味をなさなくなったなっていうので、ストーリーというものを書けなくなったんですね。たぶん、これはヨーロッパ企画だけじゃなく、色んな劇作家が。そういう時に、今のこの価値体系の、今のこの世の中にも通用する新しい意味づけのストーリーっていうものがないかと思って、それを前回ちょっとやってみたところがあったんですよ。で、もう前回そういうことをやったんで、今回はちょっと遊ぼうかなと思ってるんです(笑)

永野/
結構、バカバカしい話にしようって言ってるんですよ。

上田/
役に立たない話になりそうですよ(笑)役に立たないと言うのは、実用的じゃないというか、それこそSFとか数学もそうですけど、実学ではなくて思考実験くらいのレベルの話なんで(笑)たぶん、今の時代に全然重要じゃないことをやると思いますよ(笑)

■福岡は今回で5回目ですが、全国を廻るようになってからどれくらいたつんですか?

諏訪/
初めて全国をまわったのが2004年ですね。

永野/
だから4年目ですね。

■京都だけではなく、全国を廻るようになってから変わった部分はありますか?

上田/
それなりにはありますよね。お客さんに伝えるっていう事でいえば、点のデザインだったものが多少ユニバーサルデザインになったなって(笑)、それくらいの感じですかね(笑)自分たちがやっていて面白いっていうスタイルだったのが、観てくれる人との共通言語を増やしていったって感じですね。根っこは変えてないですから。

永野/
ちょっとお客さんに親切に出来るようになったのかなって気はしますね(笑)お客さんに対する親切さとか丁寧さも身に付いたのかなって思います。

■前回の福岡のお客さんの反応はいかがでしたか?アンケートなども読まれていると思いますが。

上田/
手前味噌ながらね(笑)良かったですよね(笑)

永野/
すこぶる良かったですよ(笑)

■永野さんは宮崎から観に来られたお母さんには褒められましたか?なかなか褒めてくれないっておっしゃってましたが(笑)

永野/
僕以外の役者は褒められてました(笑)母親にはあんまり僕の演技は刺さってなかったようですね(笑)声が大きいねってう評価は受けました(笑)

■お客さんに観ていただく楽しみとは別に、福岡で公演をされる楽しみはありますか?

上田/
正直、屋台ですね(笑)もちろん、福岡のお客さんに観に来てもらえるのも楽しみですけど(笑)

■それは絶対条件だとして(笑)他の楽しみを。

上田/
もう正直、食、ですよ。

永野/
食文化の福岡の土壌の肥えた感じ(笑)

上田/
でもホントに、お客さんに観ていただけること以外だとしたら、そりゃ、屋台が楽しみですよ(笑)お客さんしか待っていない土地に行くよりかはね(笑)お客さんと屋台が待っている福岡に来られるのはホントにね、楽しみ。

諏訪/
僕ももちろん食べ物ですよ(笑)

永野/
なんかね、「天神の母」っていう占い師が有名なんですよね?

■行かれました?

永野/
女子たちは行ってたみたいですよ(笑)そういうのもせっかくなので、そろそろ行ってみようなかなと(笑)

■(笑)では、待ちに待っている福岡のファンの方へメッセージをお願いします。

上田/
僕らが客席に座って観たときにもそうですけど、こんなのは観たことないなって思っていただけるものを観たいし観せたいっていうのがあるので、今回ももちろん、そういう作品にしますので、ぜひ観に来ていただきたいですね。

諏訪/
それ以上は言えないですけど(笑)ヒミツですね(笑)もう目撃するしかない(笑)

永野/
そうそう、ヒミツだから、もう劇場に観に来るしかないという(笑)まさに目撃って感じがぴったりかな〜。

上田/
まるで火事場を観に来るような、ロケットの打ち上げを観に来るような(笑)そういうことができればと思っています(笑)

永野/
あとなんかね〜、もっと友達に広めて欲しいなと(笑)思ってますね。

上田/
友達とか、デートとかで来てもらえたらいいですね(笑)

■前回はデートで使えるようにって言われてて、ちゃんとそういうシーンも作ってくれてましたよね(笑)今回もお約束はありますか?

上田/
デートでねカップルが観に来てくれて「ゴーレムが・・・」って話をしてくれるのはすごい嬉しいですよ。普通はデートであんまりゴーレムが・・・とかペガサスが・・・とか言わないじゃないですか(笑)そういう話をして欲しいですね(笑)カップルでね、幻獣の話とかして欲しいです(笑)

永野/
この取材って、必ずカップル向けのコメントを言うようになってきたのかな(笑)でも、ホントにカップルで観に来ていただいて幻獣の話をカフェとかでして欲しいですよ(笑)

■では永野さんは、今回の福岡のプロモーション計画について聞かせてください。

永野/
イムズ道」っていうブログをやってるんですけど、そこで「私のイムズ道」っていうのをやっていこうかと。ブログを乱立していただこうかなと思っていて。前回は、すごくマニアックにやっていたんですけど、今回からはみんなが参加できるような「イムズ道」にしていきたいですね!!みんな観てください!!!!そして、どんどん参加してください!!公演にも観に来てください!!

永野宗典の福岡イムズ道’08

 

 

【イムズホール】

イムズパフォーミングアーツシリーズ08 vol.5
第2回福岡演劇フェスティバル番外企画
ヨーロッパ企画第26回公演
「あんなに優しかったゴーレム」

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■公演日/6月20日(金)19:00、21日(土)13:00・18:00
※6/20公演終了後、劇団員によるおまけトークショー予定(約30分)
■作・演出/上田誠
■出演/石田剛太、酒井善史、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力
*出演を予定しておりました松田暢子さん・山脇唯さんは体調不良の為今回の舞台については降板いたします。
■料金/3,300円 ※当日3,500円(全席指定)
〈電子チケットぴあ Pコード〉384-937 ★Pコードクリックでチケット購入できます
〈ローソンチケット Lコード〉82121
 ピクニック(郵送販売)
 ※未就学児童のご入場はお断り致します。

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